足立区獣医師会

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医療系学部校友学術集会


10月15日に市ヶ谷の日大会館で、日大医療系学部同窓校友学術講演会が行われた。
今年で10年目を数える会だが、今回は獣医学科の準教授から電話があり、私が話しをする事になった。
テーマを聞くと、「狂犬病」で話しをしろと言う事になり、今まで調べていたデータを公表する事にした。

対象が、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師なので、以前に東京都臨床検査技師会からの依頼講演の時に使用したスライドに手を加え、専門的な事柄を加えてまとめあげた。
内容は「日本でも怖い狂犬病」と言うタイトルで、ウイルス学、疫学、病理学的な事柄を増やして対応したが、果たして持ち時間内に終わるのか?と言う不安が残った。
映像として、犬の症状、人の症状を動画で見せ、感染の可能性がある場合の対応や予防処置、発症してからはどのような治療をしても、ほとんど助からない事を認識してもらう事に重点を置いた。
また、感染ルートとして、咬まれる以外に傷を舐められたり移植手術により感染し、死亡した例がある事を示し、日本の周囲の国々では、まだ狂犬病は発生している例を話して、海外渡航者には充分に注意を惹起して貰う事をお願いした。

日本人の症例として、2006年にフィリピンでイヌに咬まれて帰国し、治療しないまま発症してしまい、死に至った2名の方の症状と対応の話しも提示して、これには他科のドクターも真剣に聞いていただいたようだった。

講演終了後に数名のドクターから質問を受けたが、全てを解説して説明すると、理解を示していただき協力していただける事になった。

日本国内で治療をしようとすると、狂犬病の初期治療に必要な「狂犬病免疫グロブリン」は日本では製造も輸入もされていないため、狂犬病ワクチンのみでの治療となる。
WHOでは、初期に免疫グロブリンと狂犬病ワクチンでの治療を勧めているが、日本では出来ないため海外で動物に咬まれた際には、先ず現地の病院で初期対応をしていただき、帰国後にワクチンによる治療を行う事が理想である。

現在、国内では一般旅行者に対しては狂犬病ワクチンの接種は行われていない。
NGOなどで海外に赴き、狂犬病常在国で受傷する危険性の高い人達が対象となっている。
このため、一般旅行者の方々には、海外は極力動物には触れないで戴きたい。もし咬まれてしまった場合は速やかに現地の病院を受診していただく事をお願いして、これ以上狂犬病の犠牲者が発生しない事を祈って今回の講演を締めくくった。

東京獣医科医院

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